First Last Love


 わたしは村上くんの手からその手紙を取り上げた。

「同姓同名?」
「……」
「違うよな? これ、いつのバレンタインのチョコ?」

「……小六の卒業前。仲よかったから……お礼に」
「じゃあ、その手紙、読んでもいいんじゃないの? 俺に書いてくれたんだろ?」

「……だめだよ」

 わたしは手紙を胸の奥深くに抱きしめた。

一颯(いぶき)……」

 村上くんはわたしの名前を呼んだ。
甘さと苦さの極から同時に電流を流され、心臓が堪え難いほどに痺れる。
切ない感情が理性を押しつぶしていく。

彼はわたしの両肩に手を置き、自分の方に反転させた。
わたしは完全に腰を抜かした状態で、村上くんがそうすることはしごく簡単なことだった。

 名前を呼ばれたこと、両肩に置かれた手の重さ、その手が震えていること、全てが冷静な思考を奪いさる。

判断能力は限りなくゼロに近づき、剥き出しの本心だけが残った。

「わたし……村上が好きだった。小学校の時。でも勇気がなくて渡せなかった」

え……。わたし今、何を……。