「洋太さんは月城がそこまで好きなわけですか? なら月城の望まない事はしないはずだと思いますけど。品川ゼミナールには立派な後継者がいるじゃありませんか」
最初は品川洋太に、次には品川の方を向いて伝えた。
「僕はモデルで……。実際の経営となると、頭のいい一颯ちゃんに頼ってしまう部分もあると、思うんです」
なんだこいつ! やりたいことのために、月城を自分の身代わりにしようと?
おそらくあの家で見つけた月城の成績表とか模擬テストの順位とか、そういうものに目をつけたのだ。
月城は小学校時代、成績が良かった。
その上、中学に入ってすぐから目標大学を絞って勉強していたらしい事は、実家で月城の机に貼ってあった紙を見てもわかる。
この、見てくればっかりよくて、経営には疎そうな息子の身代わりか、月城は。
お前に〝モデル〟って将来の希望があるように、月城にだって進みたい道はあったんだよ。塾経営とは別のな。
「モデルだって人気商売でしょ? 婚約者がいちゃまずいんじゃないの? それ以前に、あなたは月城を本当に好きなんですか?」
「僕は一颯ちゃんが好きですよ。とてもね。だから結婚できないって言われたらモデルなんてやめてもいいんです」

