そこで、品川は鞄から何か、ファイルに入った用紙を出した。
俺はそれに手を伸ばす。
「なんだ、これは? えっ……」
婚約の誓約書だった。
「これ……」
反射的に月城の方を見ると青ざめた表情で俯くばかりだ。
「見ての通り、洋太との結婚を約束した証書ですよ。司法書士に間に入ってもらい、きちんとした形にして残した」
「弱みにつけ込んで、こんなことしやがって」
「洋太と一颯は小さい頃から仲がよくてねえ」
そこで洋太と呼ばれた、今まで何も喋っていない綺麗な男を睨むように見つめてしまう。こいつはなんなのだ?
月城との結婚は親の意思?
それにしても芸能人か何かのようにきれいな顔をしている。
髪型といい、黒いTシャツに黒いジャケットを合わせるという、昨今の流行を意識的に作り込んだような、線の細い中性的なイケメンだ。
俺の友達にイケメンなんていくらでもいるけれど、そういう現実に即した奴らとどこか違っている。
夕凪から、月城には婚約者がいて、でも、そいつに対して彼女は微塵も恋愛感情を持てない、と聞いていた。
どんなに不潔っぽくて脂ぎった親父かと思っていたら、こんなにきれいな男だったとは驚きだ。

