First Last Love


「品川さん。買収の件は何度もお断りしました。今回、東欧塾さんと事業提携なさったそうですが、それもうちには関係のない話です。うちは品川さんのところや東欧塾さんと違い、生徒と、講師をしてくれる学生を直接結びつける形態をとっています。そうすることで、教室や専任講師といった経費をかけず、大きな元手がなくとも経営が成り立っています。塾としての形態が違うんです。もとは大学生が始めたベンチャーですから」


「それがまあねえ……。みんなが欲しがる会社になっとるわけですよ。大手幼稚園との語学教育の提携や、海外の学生との連携なんかも。他にも何を考えているやら」

「とにかく、現在うちは企業統合や提携の話は必要じゃないんですよ」

 薄気味悪い笑いを口の端に浮かべた品川に対し、前置きはこのあたりにする。

「ここにいる我が社の社員、月城一颯(つきしろいぶき)に嘘の情報を流し、洗脳まがいのことをしてきた罪は重い。刑法に違反しますよ。これ以上、Canalsと彼女に関わるなら、こちらにも考えがある」

 そこで品川の薄笑いが止まった。

「何を言っているのかわかりませんね。こちらこそ姪に何を吹き込んだのか」

そこで品川は月城の方に視線を向けた。

「一颯、連絡がつきにくくなり、家も引っ越してるからびっくりするじゃないか」

 月城は伏目がちではあるが、迷いなく一気に言葉を継いだ。