昼飯を食いに行くんだろう。廊下に出たところで浅見さんを呼び止めた。
「浅見さん。悪い、昼休みに」
「なんでしょう?」
俺の方に向き直ってくれる。
「あのさ、応接をとってほしいんだよ。四十二階の」
「四十二階?」
めったに使わないから訝しがるのもわかる。
「そう」
「承知しました。何月何日ですか。相手方は?」
俺はさっき決めた日時と品川アカデミーの名前を口にした。
「じゃ、よろしくね。あとこれは内密にしてほしい」
「了解です」
浅見さんが会釈して遠ざかったところで、のろのろと方向転換した。
軽く髪の毛をかきながら、あの部屋だけは役員が自分で取れるようにしよう、と決める。
相手方までが極秘事項の時にしか使わないわけで、フロアにある応接と違い、被るからって秘書に調整してもらう必要もない。
「副社長」
「えっ!」
目の前に月城がいて驚きの声が漏れる。
席にいることを確認して浅見さんを追ったのに、これだからガラス張りは……。
「叔父が来るんですね?」
「聞いてたんだ? いや、大丈夫だから。月城は何も心配しないで」
「わたしには内緒で叔父と話をしようとしてたんですね?」

