「二葉のうつ病、わたしのせいなの。家族旅行で、なんかの理由でパパにサービスエリアに入ってもらって、二葉に後部座席の左右を交代してもらったの。そのせいで二葉は、事故した時に、助手席のお母さんの死の瞬間を目の当たりにしちゃったんだよね。わたしが無理に代わってって頼まなかったら、うつ病になんかならなかったよ。その記憶はずっとあったの」
「重い……。月城さん、重すぎる」
頭が朦朧としてきた。体がぐらぐら揺れている。どうしてだろう。わたし、お酒強いはずなのに。
「月城さんっ。月城さんってば。あー寝ちゃったよ、この人」
側頭部に誰かの肩がある。手で誘導されて、優しくもたれ掛けさせてくれている。
え……もしかして夕凪ちゃん? わたしが慰めるはずなのに。村上くんは夕凪ちゃんをわたしに託して、車で待っていてくれているのに。
なんでこんなに眠気が……。
すぐ隣でガサゴソと動いている。
「あー、お兄? 月城さん寝ちゃったよ。迎えにきて」
「え……寝てないよ。……でね、夕凪ちゃんには家族がいる……。仕事中でも五秒で飛び出していくお兄ちゃんがいる……羨ましい」

