「えっ! そ……それで叔父さんって人に育てられたの? その人に愛情かけてもらえなかったってこと?」
「少しは愛情があると思ってたのに、ぜんぜんだったんだよね。いろんな事実を知ってから考えたんだけど、〝記憶喪失のわたしとうつ病の妹〟なんてドン引きしそうな姉妹を引き取ったのはーー」
「き! 記憶喪失にうつ病―?」
「わたしのぉー中学での成績がめちゃよかったからじゃないのかなー」
「そうなんだ。中学からそんなに勉強してたの、偉いですよね」
「だってK大に入りたかったから……」
「K大って! お兄の大学……。お兄は中学からもう、その大学に入るって決まってましたよ?」
「違う」
「いや……。月城さん壮絶すぎ。え、ちょっと待って! 中学の成績がよかった、って覚えてるのは、何? 記憶喪失は治ったの?」
「そう。最近。夕凪ちゃんのお兄さんのおかげで」
「そうなんだ。よかった、それだけでも。でもさっき婚約者が決まってるとか言ってませんでした?」
「それはね、その叔父さんの息子なの。優しくてイケメンですごくすごくいい人なんだけど、経営者に向いてないらしくてさ。まあ向いてないよね。村上くんと真逆だもん」
「優しくてイケメンですごくいい人が、村上くんと真逆……どうとればいいの」
そこで夕凪ちゃんはなぜか大笑いした。

