「夕凪ちゃん、えらいよ。すごくえらい! どうしようもない男ってわかってもずるずるいっちゃう子も多い中、自分で別れる、って判断して実行できたんだから。丸め込まれなかった?」
「ちょっとぐずられたかな。もう絶対浮気しない、とかなんとか。でも電話の後、ラインで伝えてブロックしましたから」
ちょっと前、夕凪ちゃんの言葉を受けて頭に浮かんだことがある。
「夕凪ちゃーん、さっき、『幸せを突きつけられるの今は辛い』って言ってたでしょ? だったらわたしの話はわりとハードでいいかもよおー?」
「え? なんか月城さん、もう酔ってる?」
夕凪ちゃんが怪訝な目で、一緒に毛布に入っているすぐ隣のわたしの顔を伺ったような気がする。
「わたしなんて好きな人とは絶対結ばれないんだよねー。わたし婚約者が決められててさあ。あーでも、そのわたしの好きな人、たぶん、秘書さんとくっついちゃうんじゃないかな。秘書の人、ずーっとガラス張りの部屋の中、伺ってるもん」
「ガラス張りの部屋、って、それお兄のことじゃん」
「違う」
「いや……。そんな部屋普通ないですよ。お兄のゴリ押しが通ってCanalsはどこもかしこもガラス張りなんだから」
「違う」

