村上くんはタクシーの中で運転手さんに断ってから、親に夕凪ちゃんを見つけたことと、これから連れ戻しに行くことを伝えてあった。
ハンドルを握る村上くんからはビリビリと電気が走りそうな焦りが伝わってきて、逆に「焦らないでよ」なんてとても言える雰囲気ではなかった。
わたし、運転しようか? と申し出たかったけれど、そうすると短時間使用の車の保険登録で時間を食う。
「この辺なんじゃないかな」
わたしは細かい位置情報をもとに車をナビしている。
「危ねえな。こんな時間。地元のヤンキーに絡まれたらーー」
「あっ! あの子、違う? ひとりだよ?」
スマホの灯りで海岸線を探していたわたしは一ヶ所を指さした。
「あのやろうーー! 心配させやがって」
左前方を確認したらやっぱり夕凪ちゃんだったみたいで、車のスピードが瞬間上がった。
精神的に危なっかしくて、わたしに心配をさせているのは村上くんも同じなんだけど……。
ぶっちゃけ、わたしはともかく、村上くんにはこんなところで事故を起こして死んでほしくない。

