「いや。明日だって会社だし。もう遅いよ」
「途中で夕凪ちゃんが移動したらどうするの?」
「え……。夕凪の位置、追えるんじゃないの?」
「ハッキングだからどんな不具合が出るかわかんない」
「マジか……」
「行こう。急がないと」
わたしは自分から先にドアノブを大きく開いた。
「ありがと。ありがとう月城」
それからわたし達はタクシーで村上くんの自宅マンションに帰った。村上くんはミケとチャピのご飯やらおやつを用意してから、またすぐに外に出る。
今度は彼の車に乗り込んだ。
村上くんの車は黒い大型の4WD、SUVだ。こんな時なのに彼らしいな、と思ってしまう。
夕凪ちゃんの位置情報を車のナビにも送り、わたし達は湘南を目指した。
「なんで湘南なんだろうな」
「たぶん思い出の場所なんじゃないかな。彼氏との」
「なるほどな。よかった。マジで助かったよ。こんなの近場を闇雲に探したって絶対見つかんないもんな。親もひとまずどこにいるかわかって安心してるし」

