First Last Love


俺が無意識にごちゃごちゃと思案している最中に、いきなり電話がつながった。

しかもはっきり月城、と名乗られた。若い女の子の声。

月城だ。

「あっ。あの自分……。ダウンジャケット間違えててて。あ、いえ失礼――」
「えっ! もしかして青山の美容室でダウンジャケット間違えちゃった方?」
「そ、そうです」
 
話がはやい。そりゃそうだ。

俺は何も失っていないけれど、月城の方は発注した名刺がごっそり消えてしまったんだから。

手持ちの名刺がギリギリだったら月曜日からの仕事にだって支障をきたすかもしれない。

「良かったー! わたしの名刺見て電話してきてくれたんですよね? しかもちゃんと個人の方!」
「そうです」
「今、店に電話しようと思ってたの。でも話が早い。わたし、そちらのお宅の近くまで取りに伺ってもいいでしょうか?」

 声が、大人になっている。

女子は、男子のように明確な声変わりがあるわけじゃないけど、記憶にある、あるいは自分で思い込んでいる月城の声とは違っている。