「ありがとう。わたし、しばらくCanalsのお世話になるよ。今は一緒に暮らしてるわけじゃないから、叔父さんにはごまかす」
「そうか! よかった。マジでよかった」
俺は肺が空になるほどの深いため息をついた。
それから力が抜け、ソファの背もたれに勢いよく倒れた。どれだけ前のめりで説得していたんだか。
「ありがとう。村上くん。自分を取り戻せたよ」
「よかったよ。月城はいじめには遭ってなかったよ。毎日、学校楽しくてしょうがない! ってキャラだった。中学でだってそうだったんだろうと思うよ」
「うん。思い出せたよ。友達のこともたくさん」
「二つ、俺と約束して」
「え?」
「まだ実家を調べたいだろ? ガムテープは剥がしたけど俺が割ったガラスはそのままになってる。せり出してる細い枝の根元を割ってかぶさるようにしたから、ちょっと見はわかんないけど。でもまた叔父さんが来ないとも限らないし、忍び込むわけだから、どうしても夜になっちゃうよな? だから行く時は連絡して。一緒に行こう」
月城はソファの座面に視線を落とし、所在なさげに指で軽く引っ掻いている。
「また……そんなことまで」

