First Last Love



「もう明け方じゃん。俺、多少食料買ってきたぞ。それ食ってちょっと寝るか」
「ここでかー……無理だよ」

 自分の布団といえども十二年くらいは使っていないわけで、埃もそうだしダニとかすごくたくさんいそうだ。

「まあ無理だよな。さすがに。まだGを見てないだけありがたいと思うぞ」
「それを言わないでよー」

鳥肌がたつんだよ、ホントに。
村上くんはGって伏せて言ってくれるだけまだ助かるよ。

 わたしは書籍調の青いノートを振り上げながら、立ち上がった。とたんにめまいがし、自分の体が大きく傾ぐのがわかる。

「月城! もう!」

 倒れそうになってしまったらしく、村上くんが手を差し伸べてくれる。二人並んで座れるベッドに誘導される。

不思議だ。

ずっと長いこと憎んできた相手なのに、この人は両親を奪った事故とは無関係だと確信してから、恨みも怖さも警戒心も消え失せている。

当たり前か。

過去、刷り込まれた人物像が違う人間のものなら、わたしが知っているのはCanals副社長としての、上司としての、村上健司だ。 

 入社以前から、村上健司の会社だと知っていても、Canalsに惹かれていたことは否めない。