First Last Love


「鍵は?」

「……思い出せない」

 月城と妹に、重要書類の場所を教えていたなら、鍵のありかも伝えていたはずだ。

「十中八九、探していたのはここの鍵だな。金庫ならそのまま運び出すってこともできるけど、このタンスじゃな。めちゃくちゃ重そうだし。壁に固定までしてある」


「なんか、ほんとに徐々に思い出してきた」

「無理すんなって。そんなに一気に思い出そうとして、大丈夫なのか? 病院行って相談したほうが良くないか?」

「今日、全部思い出すの! そうしないとまた忘れそうで怖い」

「そっか」

「ふ……副社長」

「あ、はい」

 副社長って呼び方にものすごい違和感を感じる。今この瞬間、俺の中で、月城はもう昔の同級生以外の何者でもなく、最後のクラス会から十二年後に再会して、また強烈に気になり始めている女の子だ。


「ごめんなさい!」

 月城はすごい勢いで俺に深く頭を下げた。

「えっ……」

「本当にすみませんでした」
「ああ」