私たちの恋風は、春を告げる




お母さんと麗子さんも顔を見合わせて、小さく笑い合っていた。


「ありがとう、咲茉ちゃん。よかったね、希海」


「うん!ね、早く戻ってお薬飲も!」


希海ちゃんは麗子さんの手をぐいぐい引っ張っている。


「お姉ちゃん、また明日ね!」


「うん。バイバイ」


「いろいろお世話になりました」


無邪気に手を振る希海ちゃんの姿が閉まる扉の向こうに消えていった。