私たちの恋風は、春を告げる




面倒くさそうにヘッドホンを外して首にかける冬紀の隣に、いつものように並んで歩く私。

「べつに俺の勝手だろ」

「まあ、それはそーですけど。私は心配して言ったつもりなんですけどねー」

無愛想な冬紀に、私は不満を漏らす。

冬紀がつけているヘッドホンは去年の誕生日に、お小遣いを貯めて私がプレゼントしたもの。

気に入ってくれているのか、あげた次の日から毎日付けてる気がする。

学校につけていくのは校則違反だけど、使ってくれてるのは素直にうれしいって思っちゃう。

「相変わらずテンション低いねー。低血糖?ちゃんと朝ごはん食べてる?」

「お前がうるさいだけだろ。てか、余計なお世話」

「…はいはい。悪うございましたー」


口を尖らせて、前を向く。