私たちの恋風は、春を告げる


✴︎

「じゃあ咲茉、また来るね」

「うん、ありがとう、美波。気をつけてね」

美波を見送って、病室の中は私と冬紀のふたりだけ。

外は赤い夕陽空が広がっていた。

「冬紀もそろそろ帰らないと、真っ暗になっちゃうよ」

「…もう少しここにいる」

「ねえ…」

夕空を見つめていた私は冬紀に視線を送る。

どうしても、冬紀にお願いしたかったことーーーー