私たちの恋風は、春を告げる




それから1週間が経った。

この1週間の間に、桜は満開に咲いて、町中が鮮やかな桜色で溢れている。

数日前、高校の入学式があって、俺は高校生になった。

初めて高校の制服を着て咲茉の病室を訪れたとき、「まあ、よく似合ってるわ!」なんて大袈裟におばさんが言うから、少しだけ照れくさかった。

休日の今日も、俺は咲茉の元に来ていた。

咲茉は変わらず眠ったままだけど、季節は少しずつ移り変わって、病室の窓から見える景色はすっかり冬から春になった。

病院の周りに植えられた桜の木が、風に吹かれてゆらゆらと靡いているのが見える。

「桜、満開になったわねー」

「そうですね…」

窓の外を眺めていた俺につられて、おばさんも外を覗いて言った。