私たちの恋風は、春を告げる


(冬紀side)

全部を読み終えた時、頬に涙が溢れ落ちるのを感じた。

それに構わず、俺は咲茉の手をとり、ぎゅっと握る。

桐原も手紙を読み終えたのか、目元を何度も擦っている。

咲茉の手から、温もりが伝わってくる。

ーーーちゃんと、生きてる

そう、無意識に感じた。

「…咲茉、聞こえてるか?外の桜、少しずつ色がつき始めてる。きっと、もう直ぐ咲く。今年の桜も、一緒に見よう。桐原も、おばさんも、みんなお前を待ってる。…だから、早く目覚ませよ」

咲茉の声が、笑顔が見れないまま、もう1ヶ月も過ぎた。

それが、この先どれくらい続くかはわからない。

けど、俺たちができるのは、咲茉を信じて待つことだけ。



俺はただ祈るように、咲茉の手をぎゅっと握りしめて、眠り続ける横顔を見つめていた。