私たちの恋風は、春を告げる


俺たちはとりあえず病院内の椅子に座っていたけど、いつ看護師の人が呼びに来るかわからないから、とおばさんはその後もずっと咲茉の病室で待っていた。

どれくらい、そこにいたのだろう。

桐原と言葉を交わすこともなく、ただずっとそこに座っていた。

「…あのさ」

沈黙を破ったのは桐原の言葉だった。

「…私、前に咲茉の気持ちも考えないで、咲茉を傷つけること言っちゃったんだ…。私の知ってる咲茉はさ、すごく明るくていつも前向きで…。だから、あんな弱々しい咲茉を見るのは初めてだった。少しずつ変わってく咲茉を見るのが怖くて、どんな言葉をかけていいのかわからなくて…私、ちゃんと謝りもしないまま、咲茉に会いに行かなくなった」

俺は足元に視線を落としたまま、桐原の言葉に耳を傾ける。

「…だから、咲茉にちゃんと会って、ちゃんと謝りたい」

それから、再び沈黙が流れる。

「……ね、片岡って、いつから咲茉のこと好きだったの?」

「…何、急に」

俺は思ってもみなかった桐原の声に、俺は視線をそちらに向ける。