私たちの恋風は、春を告げる


「…あの、咲茉の手術、ちゃんとうまくいきますよね?」

こんなに心臓が痛かったのは、初めてだ。

ただ、咲茉の無事が知りたかった。

桐原も、息を飲んだのがわかった。

「…私も、そう信じているわ。でも、お医者さんが言うには、手術が無事に終わっても、あの子目を覚まさないかもしれないんですって…。目を覚ましても、今まで通りの生活が送れるかもわからない。もう歩いたり話したり、できないかもしれないの…」

「そんなっ……」

震える声を漏らす桐原の隣で、俺はぎゅっとこぶしを握り締めた。

おばさんの言葉は、すごく残酷なものだった。

「…でもね」

しばらくの沈黙の後、おばさんは言葉を紡ぐ。

「でも、あの子、希望を捨てていなかった。何があっても、生きてみせるって。…だから、私も信じて待つわ。だから、冬紀くんと美波ちゃんも、あの子の生きる力を信じてあげて」