私たちの恋風は、春を告げる



学校に近づくにつれて、同じ制服をきた生徒がちらほら増えていく。

そんな中、私は見慣れた後ろ姿を見つけて、その人物を追って小走りになった。

後ろから見ても、すらっとした背の高さと全身のバランスの良さが一際目立つ。

「おっはよ、冬紀!」

大抵いつもヘッドホンをしながら歩いてるから、今みたいに冬紀の視界に入るように顔をのぞかせる。

「……なんだお前かよ」

冬紀の前に飛び出した私に一瞬、驚いたように目を見開いた冬紀だったけど、すぐに無表情に戻る。

「お前かよ…って失礼だなあ…。ていうか、ヘッドホンしながら歩くの危ないんだから、いい加減やめなよ。それ使ってくれてるのは嬉しいけど、車来た時に轢かれたって、文句言えないよ?そもそも、学校にヘッドホンって禁止ですけどー」