私たちの恋風は、春を告げる

 
次の日、お母さんが病室に来て、いつも通り花瓶の花をいじっていた。

私は相変わらず、ただベッドの上で白い天井を見つめていたけど、花をいじっているお母さんを横目で確認して、体を起こした。

「……ねえ、お母さん」

「……なに?」

ここ最近、お母さんとはまともに口をきいていなかった。

なんでかわからないけど、ちゃんとお母さんと向き合って話すのは久しぶりだたら、少しだけ緊張した。

「…これからのことだけどね」

私の言葉に、お母さんは花にふれる手を止めた。

そのまま、真剣なまなざしでこちらを向く。

お母さんは、私の言葉を急がせない。

じっと、待ってくれているのがわかる。

「私、やっぱり死にたくない…皆と同じ生活を送りたい」