「治らないって、解ってはいたけど…どこか希望を捨てられない自分もいた。あの子もいつか、みんなと同じように学校に行って、素敵な人と出会って恋をして、幸せな人生を送っていく…って思ってたけど、それは叶わなかった。周りの子に比べたら、何倍も何十倍も苦しみだらけの人生だったと思うわ」
麗子さんは言葉を続ける。
「だから、先生にお願いしてもうなんの治療もしないでいいから、最期の時間は3人で沢山楽しい思い出をつくって、希海を自宅で看取りたいって言って退院させてもらったの」
それは、希海ちゃんにとって、すごく嬉しいことだったと思う。
短い時間でも、大好きなお父さんとお母さんと過ごせたんだから。
「咲茉ちゃんと出会ってからの希海は、本当に毎日楽しそうだったの。あんなに楽しそうにしてる希海を見るのは、本当に久しぶりだったわ。…咲茉ちゃん、希海と出会ってくれて、本当にありがとう」
その言葉に、私の目から涙が溢れた。
「私も…希海ちゃんから沢山の大切なものを貰いました…希海ちゃんに会えて、本当に良かったです」
涙を拭って、笑顔を浮かべる。


