私たちの恋風は、春を告げる


すぐ横の棚に置いてあった、希海ちゃんがくれた貝殻に手を伸ばす。

真っ白な貝はいつ見ても綺麗だった。

それを、耳元に近づける。

微かに聞こえてくる、さざ波の音。

「…夜、ひとりになるとすごく怖くなったり、不安になることがあったの。そんな時はいつもこうやって、貝殻の音を聞いてた」

そうすると、なんだか気持ちが穏やかになって、安心できる気がしたから……

「…それ、誰かにもらった物なのか?」

冬紀は優しく問いかける。