「お母さんだって、信じられないわよ。…信じたくもない」
「……そんな…だって…」
別れ際に笑顔で手を振っていた希海ちゃんの姿が蘇る。
あんなに元気に退院したのに……
……なんで?
「…それでね、明日の午前中に告別式があるそうなの。麗子さんが、急で申し訳ないけど、咲茉にも来て欲しいって言ってたわ」
「………」
「お母さん、咲茉の制服持って来るわね……」
呆然として何も答えない私に、お母さんはそう言った。
それから後のことは、よく覚えていない。
ただ 、夜ひとりになってからも希海ちゃんと過ごした日々を思い返しながら、そんなの嘘に決まってる……そう自分に言い聞かせ続けていた。


