私たちの恋風は、春を告げる



「……え?じゃあ希海ちゃんも!」

寝たふりをしてう私は、希海ちゃんの名前を聞いてそんな演技など忘れて、慌てて飛び起きた。

けれど…

お母さんの表情は、ものすごく暗くて…。涙を堪えているようにも見えた。

「…咲茉、落ち着いて聞いてね…希海ちゃん、昨日亡くなったそうよ」

「…………え?」

…亡くなった?

「…ちょっとお母さん何言ってんの?だって、希海ちゃんあんなに元気に退院したんだよ?」

私は信じられるわけがなくて、呆れたように小さく笑った。

でも、お母さんの顔は本気だった。