「今の状態で手術をすれば、体の左側が麻痺で動かなくなったり、目にも障害が出てくるかもしれない。言葉を話せなくなるかもしれない。意識障害を起こして、目を覚さないかもしれない……僕たちにも断言できないくらい、たくさんのリスクが考えられる。でも、そういったことを起こさないように、僕たちは最善を尽くすよ」
先生の言葉に、私は小さく頷くしかできなかった。
「この場ですぐに決めることは難しいと思います。娘さんは、年齢的にも、自分で決断する力は十分に備わっています。しっかり娘さんの言葉を聞きながら、今後の方針について、一度相談されてください」
病室に戻った私は、お母さんと言葉を交わすことなく、ベッドに潜り込んだ。
荷物を整理するお母さんとは反対側の方を向いて、背中で様子を伺う。
「……咲茉」
そんな沈黙を破ったのは、お母さんのほうだった。
「………」
私は何も言葉を返さない。


