私たちの恋風は、春を告げる



私は…冬紀のこと、ひとりの異性として意識して…

ーーいや、ないないない!

誰にも気づかれないように、小さく首を振る。

先生の話ちゃんと聞かなきゃ。

そう、頭の中を切り替えて黒板を見る。


…………あれ?


視界に映る黒板の字が、なぜか二重に見える。


………何、これ


両手でごしごしと目を擦ってみたけど、何も変わらない。