小さく頷いた私に、先生も頷き返す。
そのまま、先生はお母さんの方を見た。
私とやりとりをしていた時の柔らかさは全く感じない、真剣な表情だった。
「検査結果から、簡潔にお伝えします。抗がん剤の効果で、腫瘍の成長を止めることはできました。ですが、腫瘍そのものの大きさは、入院時と大差ありません」
「……それは、どういうことですか?」
お母さんは混乱したように、先生に尋ねた。
「抗がん剤の効果が、出ていないわけではありません。ですが、我々が目的としていたのは、腫瘍を小さくすることなんです。咲茉さんの場合、腫瘍自体を小さくする効果が期待ほど強くなかった、ということです」
「…待ってください。じゃあ、咲茉の状態は入院した時と、ほとんど何も変わってないとおっしゃるんですか?そんな……1ヶ月以上も、この子頑張ってきたんですよ?」
あれだけ耐えて、思った効果は得られなかった…その事実に、私の中の希望が、完全に途絶えた気がした。


