「咲茉ーーーー」 だんだんとはっきり聞こえてきた声に、私は目をゆっくりと開いた。 夢を見ていたらしい。 「咲茉」 聞き覚えのある声がして、手をぎゅっと握られている感触。 声のした方に、私はゆっくりと顔を向ける。 「……冬紀」 か細い声が、自分の喉から出たのを感じた。