私たちの恋風は、春を告げる



「ほんと?よかったー。さっき、咲茉のお母さんとすれ違ったけど、さっきまで来てたの?」

「うん、これから仕事行くとこ」

美波はコートを脱いで椅子の背もたれにかける。

そのまま椅子に腰をかけた。

「今日、外いつもより暖かそうだね」

「うん、いつもよりはねー。あ、数学やってたの?」

美波はそう答えて、私の手元を見る。

「あ…うん、まあ…」