私たちの恋風は、春を告げる


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それから時間はあっという間に過ぎて、希海ちゃんの退院する日。

私はお母さんの支えを受けながら、病院の入り口まで見送りに来ていた。

「咲茉さんの話は、妻や希海から、よく聞いていました。希海を可愛がってくれて、ありがとうございました」

この日初めて会った希海ちゃんのお父さんは、すごく優しそうな人だった。

「いえ。私も、すごく楽しかったです」

「咲茉ちゃん、本当にありがとう」

麗子さんも、目に涙を溜めて、私にそう言った。


私は希海ちゃんに近寄って、小さな手を握る。