私たちの恋風は、春を告げる



温かい手だ。

「また、絶対来るから」

「うん……」

"来なくていいよ"なんて、何回言ってもこの2人は聞かないんだろうな。

私は小さく苦笑しながら、美波の手を握り返す。

「2人とも、ありがとう」

「じゃあ、またね」

美波が、眉を落として手を振る。

「うん。外、暗いし寒そうだから、気をつけて。風邪ひかないようにね」