私たちの恋風は、春を告げる



今日も院内学級で授業が終わって、病棟に戻るため、私は階段を降りていた。


手すりをつかんで、一歩一歩慎重に足を出す。


足の筋力も落ちて、歩くのさえ自分には困難になって来ているのを実感した。


階段を下り切ったところで、自販機の前に立ち尽くす希海ちゃんを見つけた。


困ったような表情で、上を見上げている。


手が届かないのかな…


「希海ちゃ……」


「どれが欲しいんだ?」


声をかけようとした私は、希海ちゃんに近づく人影に、言葉を呑み込んだ。