私たちの恋風は、春を告げる



入院をして、3週間が経つ頃ーーー私が、一番起きてほしくないと思っていたことが起き始めていた。


「……髪、抜けて来ちゃった…」


ベッドや枕、自分が生活する場所には、抜け落ちた髪がところどこれろに散らばっている。


「…あーあ、ついにか……」


入院して3週間,


この期間で、私の姿は以前とは大きく変わっていた。


体重はますます落ちて、自分でもびっくりするくらい、げっそりと痩せ細っていく体。


最近は、部屋の鏡を見るのが怖くなっていた。


まだ残る髪は軽く触れるだけで、いとも簡単に抜けていく。


手のひらに落ちた髪を、私は無言で見つめていた。