「も……やめてよ美波!びっくりしたあ……」 「ごめんって咲茉、謝るからそんな怒んないで!」 頬を膨らませる私の顔をちょんちょんとつつくのは、小学校からの付き合いで、大親友の桐原 美波 (きりはら みなみ)。 「ほんと、この通り!」 顔の前で両手を合わせる美波。 「…仕方ないなあ。今回は特別に許してあげる!」 「やったね!」 明るい笑顔を見せた美波は、まだ来ていない前の席の人の椅子に座って、くるりとこちらに向きを変える。