いつから近くにいたのかびっくりしてしまうほど、声をかけられるまで気配を感じなかったあたり強者である証拠かもしれない。
乙部さんの存在に気づいた永田くんもびっくりしているくらいだ。
「ち、ちわっす」
永田くんの挨拶とともに私と湯川くんもぺこりと頭を下げた。
「今日は僕が榎本さんのことを家まで送り届けることになりました」
「じゃあ、俺も一緒に!もしまた囲まれたら……」
「上級生を中心に周辺を警戒させているので、囲まれたら即、囲み返します。永田くんは心配せずケガの回復を優先させてください」
「……うす」
乙部さんの落ち着いた物言いに、素直に返事をしながらも永田くんは少し残念そうだ。
そしてトップの統率力も、ここぞというときの桜辰の団結力も、力だけではない強さを感じる。
「よ、よろしくお願いします……」
「こちらこそ」
言葉遣いが丁寧すぎる上級生相手に緊張しないのも難しい。
一緒に下校なんて何を話せばいいのだろう。
誰かに襲われたらという心配よりも、私は乙部さんとのコミュニケーションについての心配ばかりが頭を過った。
乙部さんの存在に気づいた永田くんもびっくりしているくらいだ。
「ち、ちわっす」
永田くんの挨拶とともに私と湯川くんもぺこりと頭を下げた。
「今日は僕が榎本さんのことを家まで送り届けることになりました」
「じゃあ、俺も一緒に!もしまた囲まれたら……」
「上級生を中心に周辺を警戒させているので、囲まれたら即、囲み返します。永田くんは心配せずケガの回復を優先させてください」
「……うす」
乙部さんの落ち着いた物言いに、素直に返事をしながらも永田くんは少し残念そうだ。
そしてトップの統率力も、ここぞというときの桜辰の団結力も、力だけではない強さを感じる。
「よ、よろしくお願いします……」
「こちらこそ」
言葉遣いが丁寧すぎる上級生相手に緊張しないのも難しい。
一緒に下校なんて何を話せばいいのだろう。
誰かに襲われたらという心配よりも、私は乙部さんとのコミュニケーションについての心配ばかりが頭を過った。



