お兄ちゃんは、私の頭を優しく撫で、まだ小さい私の体を大きい手で包み込んだ。
まだ、泣くことしか出来ない私。
なんで、私は家族を困らせた?
私が泣かなければ、直ぐに車に乗って、事故は避けられたはずなのに。
鳴り止まないバイク音。
そしてとうとう、その時は来てしまった。
「…ごめ…いて…あっち…っ!」
何か私に叫ぶように、お兄ちゃんは言った。
が、バイクの音でかき消され、私は上手く聞き取れなかった。
私がポツンと動かずにいると、目の前から白い光が見えた。
私には眩しすぎて何かは分からなかったけど、おそらくバイクの光だろう。

