日曜日の昼過ぎ、怜央は外ロケの仕事をしていた。
お天気があまりよくなくてみんな待機をしている。
「あーあ、別れ話か?」
「学生っぽいな」
現場のカメラマンが集まっていて会話の方向を見ると「真綾さん?」
怜央は立ち上がった。
心配で怜央は見ていると雨が降ってきて、急いで荷物を避難させる。
大丈夫かな…
男が真綾の肩を押して尻もちをついた。
「あっ」
その後何か袋を真綾に投げつけたのだ。
えっ、俺どうすれば…見なかった事にするべきなのかな…でも
金曜日に喧嘩中って言ってたからまだこじれているのか…
真綾は尻もちをついたまま泣いているようだ。
男の方は後ろを振り向きもせずに去っていった。
大粒の雨が降ってきて「撤収ー」と声がかかり、撮影は中止になった。
怜央は他のスタッフに挨拶をして自分の荷物から折りたたみ傘を出して真綾の方に走って行った。
真綾は体に雨が当たらなくなった事で不思議に思い上を向いた。
「な、何でここに…」
「撮影の仕事、さっきあっちに人が集まってたのわからなかった?」
「撮影?」
「立とうか」
「あ…」
震えている真綾に怜央は手を伸ばした。
恐る恐る真綾は手を伸ばすとギュッと引っ張られ立ち上がる。
「荷物取ってくるからちょっと待ってて」
真綾に傘を握らせ、怜央は雨の中を走ってメイク用のジュラルミンケースを持って戻ってきたのだ。
真綾から傘を取り「送ろうか?」と言うと頭を横に振った。



