Secret Love 〜カリスマ美容師は幼なじみの年下アイドルを溺愛する〜

「ご予約のお客様ですか?」と近くにいたスタッフが尋ねると「いえ、違うんですけどカットだけって出来ませんか?」
「うちは予約の人数でスタッフを入れてるんで…」
「あっ…ですよね…グスン、すみません…ぐすっ」

いきなり泣き出してしまった。

「ちょっと待って」
爽平が声をかけた。

「爽平さん!」
対応していたスタッフは爽平の後ろに下がった。

「髪を切るのが泣くような事なのかな?何があったか話せる?」

爽平は待ち合いの席に座らせて温かいお茶を渡した。
お店にはお客様が待つ間に自由に飲めるように紙コップ式の飲み物が置いてある。

「狩谷と申します」と名刺を女性に渡した。
ちょっとは落ち着いたかな?と話しかけるとゆっくりと話してくれた。

「好きな人がいて…先輩なんですけど、最近少し話すことが出来るようになって…どうやらショートカットが好きで明日ショートカットにしてきたらデートしようって言われて…」

「うん」
「私、自分ではショートカットは似合わないと昔から思っていて…色々考えてたらへアサロンのこの看板を見て入ってきちゃいました」

「君は大学生?」
「はい」
「あのさ、そんな男とは付き合わない方が君の為だと思うよ」

「髪型だけでデートしてくれるものなのかなって考えちゃって…私お付き合いをしたことがなくて」
「その彼とは明日合う予定があるの?」
「サークルがあるので会います」

ドアが開いて爽平のお客様が来られたようだ。

「8番に案内して」とスタッフに言うと女性の前にしゃがんだ。

「明日の8時30分にここに来れるかな?」
「えっ?」
「僕が可愛くしてあげるよ」

爽平はニコッと笑った。