Summer Love



「何で……」



「だって………貴方本当に、純粋に、私が離しても修先生のところに行くでしょ?………好きだから」



「そんなこと………ないよ………どうして信じてくれないの……?」



「恋する乙女を私は浴びるように見てきたからよ………貴方は、きっと向こうに行ってしまうわ。うんん。本能がそう叫んでるように見えるの」



私は、嫌だった。



このまま、おばあちゃんがネックレスを校長に持っていって、修先生が教師を辞めてしまうなんて、人生が終わるくらいに嫌。



それならーーー。



「私は………この場所を出るよ………」




それは長い沈黙だった。



外の雲が不穏になり、やがて雨が降る。




「何言ってるの………出るって………」



「おばあちゃんがその気なら、私は一人で生きていくわ………というか、そうしなきゃいけなかったんだね………馬鹿だよ、馬鹿だな。私………」




急ぎで色んなものを詰めていく。



投げ込むように、そしておばあちゃんを押し退けて。




それは私自身も何処かにあった蟠りを、バッグの中に全て詰め込んでいるみたいに。




「ちょっと………純奈………待ってーーー」




「もう………前々から、我慢できなかった………。おばあちゃんは私に真実をいつも教えてくれないもの………」




バッグのチャックをすべて閉め終えた後、どうしていいかわからないという顔をしたおばあちゃんと鉢合わせ。



「無理やりでも、止めようと………しないんだね………」