零くんを怒っているわけじゃなく、私自身過去から逃れられなかった。
恋の神様という力を使っても、無理なものはーーー無理だったのだ。
「我は…………いや………そうだったのか………。でも、いいのかい?純くん?もう一度やり直そうとは思わないのかい?」
「十分私も零くんに酷いことしたから、今更………顔向けできないよ………。もう………向こうの両親に断りのメールを送っちゃったし………。それに………私は耐えられなかった。零くんが………1番この世から居なくなることが」
「恋愛をしてるだけじゃ………人は居なくならいぞ?」
「でも………そういう呪いが私にあるって思えてしまうの………。それが………消えなかった。零くんといて………それが胸につっかえて………無理だったの。一緒にいることが」
百合ちゃんは何も言わなかった。
凄くわがままなんだろう。
今の私は、周りにいる全ての人を振り回して傷つけてる。
でも、過去の事を話す勇気もなければ、踏み出す勇気もないからこそーーーこういう対応をするしかないって。
すると、百合ちゃんは私を引っ張った。
「本当は………こうしたくなかったんだかな………」
百合ちゃんは、私の両方をつねった。
「………らりふるの?(なにするの?)」
「零くんの敵討ちだよ。本当は………ぶっ叩きたかったのだが………事情を知ったからね」
「しゅってたの……?(知ってたの?)」
「誰に聞いたかは、言えないが………知ってた。………もう、許してあげてくれよ。純君。自分を責めすぎて、おかしくなるくらいなのなら………我を頼ってほしかった………それなのに………どうして………」


