「お前は……お前は止めたのか?」
泣きじゃくっていた、隼斗を咎めた。
「アイツは……誰よりも普通の女の子としての道を歩みたいって思ってるから……言えねぇーよ。そんな事よりーーー」
隼斗は手を振り払った。
「いいかげん、修先生も友香達を振り回すのやめてくれよ!!」
突然咎められてしまった故に、慄く俺。
「……どうしてお前に、そんな事を言われなければならないんだ。悪いのは……友香だろ……」
「でも、あいつの話を聞けば純奈先輩にネックレスのことを注意せずに、何事もなかったかのように接した所どうなんだよ!!」
痛い所を突かれてしまい、ぐっと飲み込んだ。
「しかも……花子さんの話を盗み聞くあたりでは………秘密があるんだろ?純奈先輩との」
俺はタバコを吸って、息を吐く。
「俺からは、何も言えない。人様の都合を容易く言える職業柄でもないからな」
「だとしてもーーー修先生は、注意してほしい時にしなかったから、友香も納得せずに、拗らせてんだろ?その理由は、よっぽどなんだろうな?」
詰め寄ってきた隼斗。
大きく手を振りかぶったと思えば、右頬に鋭い痛みが走る。
「そうじゃなかったら、俺はーー友香を傷つけた害虫って思うから。覚えてろ?」
石畳の上に落ちたたばこの火が、消えた。


