俺は言葉を返さない。
「そして……友香の母さんから留守電で「お父さんが会いたがってる。………言いにくいけど、許してあげて。お願い!!一緒にいたいの!!」だって言われたって………俺、それ聞いた時……どんな言葉返せばいいか分かんねぇんだ………」
珍しく隼斗は涙を流した。
それは……息が詰まるようなうめき声に近い悲しみ。
「俺……ずっと、友香と幼馴染でさ………本当は幼稚園の頃から友香の父親の事情………薄っすら分かってた………」
「……そうだったのか」
すっかり縮こまった隼斗の身体を擦る。
「でも……アイツをその事について聞き出したら傷つけるかもしんねぇって思うと………聞き出せねぇんだよ……!!ずっと近くにいる、大切な人なのに!!何一つとして、アイツのそばにいてやれねぇ自分が、情けなくてっ……クソッ!!」
「その気持ち……伝えようとしたのか?」
「修先生にぞっこんだから………俺なんて目もくれねぇから意味ねぇーよ……」
「そうか………辛いな……」
「おかげさまでな。もう……俺、どうしたらいいか分かんねぇよ……前に、花子さんと友香の話、聞いた時も……どうしたらいいか……」
「ちょっと待て……どうしてお前が花子さんを知ってる?」
「アイツは……修先生と純奈先輩を引き離す為に………協力してる。こっそり今朝後をつけていったら、話していることが聞こえた。………成功したら、支援金払ってくれるって事も」


