「ホテル内の方からです」



突然朝飛び起きてみると、ホテル内の使用人が私の扉を叩いた。



別々のベッドに寝ている私は、未成年だという理由で厳重注意がはられたのではないかとハラハラしていたが。



「伝言………ですか?」



メモ用紙を渡された。



それも手ぶりの大きさで。




「ありがとうございます……お疲れ様です……」




とりあえず、思ってもないことを礼として。



使用人が去った後、さっそくその折られたメモ用紙をのぞく。



ーーー「呼び出しです。午前中に来てください。部屋番号を書き記しておきます」。



そう、手紙には付け加えられていた。




もちろん、部屋番号も。



今どきになって、どうして手紙なんだろう。



怪しさマックスの呼び出しに、裏があると読んだ私。



ーーーもしかしたら、私の状況を読んでいるから、「この私に逆らったら、弱点をこのホテル内にばら撒くぞ」的なやつだったり?




そう思った瞬間、居ても立ってもいられない状態になり身支度を初める。


「友香?どうした?」



神妙な顔つきの隼斗がやって来た。



「黙って、寝ててくれない?」



「起きてそうそう、それはないだろ……」



私はメイク道具をしまう。




簡単に身支度を済ませた後、隼斗は「おい」と声をかけてきた。




「何?」



「まだ、諦めないのかよ?」




「修先生は私のフィアンセだから」



「俺はどういう存在なんだ?」



「へ?」



「だから……俺はどうゆう存在なのってこと!!遊び相手的なやつだったり?」



「………ただの幼馴染よ」



隼人がまた、変なことを聞いてきた故に変な空気になったのを耐えかねて出ていく私。



歩みを進めていくうちに、大量の雨が降る音が耳の鼓膜を震えさせる。



「妙な天気………」



若干の胸騒ぎを感じながら、進んでゆく。



指定された部屋に着く。


私は息を吸って、扉を叩く。



するとすぐさま、扉が開く。



出てきたのは、白いコサージュが似合うお祖母様。



「あなたが、友香さんなのね?」



「あの……どうして私の名前を……?」



「まぁ、話は後で。上がってちょうだい」



なすがまま、歩みを進める。



この部屋、今見たらこのホテル内のスイートルーム。



「あなたには、ジャスミンティーがお似合いかもしれないわね」



「じゃあ……それで………」



お嬢様が優雅に午後のティータイムを迎えそうな、食器の数々に萎縮しちゃう。



どうして、こんな豪勢なお祖母様が私なんかを招待してきてるわけ?



頭の疑問符が、部屋いっぱいに埋め尽くされた頃合い。



「私、薫花子。純奈の母方のお母さんなの」



「純奈って………あの純奈先輩の?」



「飲み込みが早いわね。単刀直入に言うわ。純奈と修先生を引き離してほしいの」



「えっと………え?」



「だから、あなた修先生の事が好きなんでしょ?あなたの手で修先生を奪って、もう二度と孫に近づけないようにして欲しいの」



「あの……そもそも、何で私の名前を?それに、どうしてそんな事をわざわざしようとしてるんです?」



「あなたのことは、純奈から聞いたのよ」



紅茶を私と、花子さんの分を難なくと注ぐ。



花子さんは、高級クッキーをつまむと「ボソボソだわ。味が落ちてるわね」と一言。



「そして、どうしてそんな事を仕向けようとしてるのって疑問には、答えられないわね」



「どうしてです?」




「人には一つでも言えない秘密って物があるからよ」



「そんな……そこがわからなければ、協力なんてーーー」



「しないっていうのかしら?」



雷が轟いた。



でも、近くはないみたい。



「いいの?純奈に愛しの修先生を取られてしまっても?」



「純奈先輩が言ったんですか?私が修っちの事が好きだって?どうしてそんな事知ってるんです?」



「純奈の情報から、色々と張り巡らせて知ったのよ。大人の悪知恵って言うのかしら。そうゆうのって」



「あなた………何者なんですか?」



「私?修先生と純奈を守る、守護霊かしら?そうかもね」


また優雅に紅茶を飲む、花子さん。