友香が腕を絡ませて、身を寄せた。
「それでも………一緒にいさせてよ」
吸い込まれるような夜空と、清々しい風が体の隅々まで洗い流してくれるような、心地よさを覚えた。
「あ………純奈先輩……」
向かい側から純奈がやって来た。
何処となく気まずい雰囲気が流れる。
「お前……一人で歩いてたのか?」
「ちょっと、おばあちゃんと喧嘩しちゃったの」
きっと喧嘩した理由は、ネックレスの件かもしれない。
「外に出るときは俺をーーーー」
俺を?
俺は今何を言おうとした?
頼れってことを純奈に言おうとしたのか?
駄目だ………それだけは絶対に。
何故なら、花子さんに釘を刺されているのもある。
でもそれ以上にーーー。
「ごめん……怖いんだ……俺」
「修っち?どうしたの?」
本心が口から溢れ出てしまった。
こんな辛い思いをしている生徒を、俺の言葉一つで身も心もボロボロにさせてしまうんじゃないかって思うとーー言及できない。
「修先生………私何か悪いことしたんですか?顔色があんまり……優れてない………」
心配そうに覗き込む純奈。
お前は……もう俺に関わらないほうが身のためだ。
そうしないと、俺はお前を傷つけてしまうような気がするんだ。
「純奈先輩、いい加減にしてくれませんか?」
友香、辞めろ。
お前は、勘違いしてる。
でも俺は、言葉が直ぐにこの時出てくることはなかった。
「修っちは、思わせぶりをしてくる女子が一番嫌いなの!!修っちは、それでいつも苦労してきた過去があるから、今度の件も嫌がってるって事、気づいてないの?」
純奈は目を見開いた。
その目からは、星粒のような涙を浮かべている。
「友香っ……!!」
「修っちは、黙って!!」


