Summer Love



「つまり?」



「……っ!?!」



また厄介な、頭痛が襲う。



2人の血がどんどん溢れて、ぬいぐるみはその血を吸って、薔薇のように真紅に染まっていく。



「真実は隠せないんだよ?」



「っ!??はっ!!!」



目が覚めた。




時刻は8時丁度。



「……寝坊した………クソッ!!」



パンを飲み込み、身支度を数秒で整えて何とか受付場に。



「遅い!!何時だと思ってるの!!」



激昂が飛んできたが、反論する気にはなれない。


それもそうだ。



遅れた俺自身が悪いんだから。



「あんた最近どうしちゃったわけ?上の空だし、遅刻するだなんて………」



「トラブル続きで、いろいろ参ってんだよ。勘弁してくれ。言及はなしだ」




母さんと、軽く睨んできたバイト員をよそに、さっそく資料片手にお客の情報をパソコンで打ち込んでいた時。



「ここに、薫純奈………孫はいるかしら?」



艶のある和やかな声が。



ふと、目線を上げる。



そこには、白い長帽子にワンピースがお似合いのお祖母様とも呼べる年配の女性が立っていた。



「えっと……宿泊をご予約でしょうか?」



「え……?あぁ……。孫の部屋に一緒に泊まるの。その前にこのぬいぐるみを届けてくださらない?私このあと、用事があるのよ」



目の前に出されたぬいぐるみ。



その瞬間、胸を鷲掴みにされたように打つ手が止まった。



それは、昨日見た悪夢の白うさぎのぬいぐるみ。



「あら……。お孫さんへの………プレゼントですか?」



固まっている様子を察したのか、母さんが割り込んできた。



「ええ。ずっと渡せなかったプレゼントなのよ。「あなた達は知らないでしょうけど」」





ーーー「あなた達は、知らないでしょうけど」?




どうゆうことか理解ができなかったので、チラリと母さんを見る。



すると、鋭い引き締まった顔をして、ゴクリと唾を飲み込む。



これは………何か知っている?



さっきの煽り言葉に対して、反応しているとするとーーーやっぱり母さんは、この記憶喪失の件を必死に隠してるんだ。




その理由は定かではないが。



そして、この純奈から見たおばあちゃんも、俺の事件と関与してるってことなのか?



だとしたら………俺はどうすればいいんだ?



「そ……そうかもですね……。一応、この私が、純奈さんの部屋にプレゼントを持っていきますね」



「ありがとうございます。お優しいのですね。おばさま」



「お………おばさま………」



ピリピリとする女子特有の喧嘩を見せつけられたと思いきや「修先生……でしたっけ?」と去り際に声をかけられた。



「……どうして、俺……いや、私の名前を?」



「純奈から聞いたの。あの子と私、一緒に住んでるし」



「要件は何でしょう?」



「午後1時くらいに、私の部屋に来てくれないかしら?話たいことがあるの」



予想外だった。



絶対、煽る発言をしたから虫酸が走るほど嫌いなのだろうと判断していたからだ。



下手に断ることもできなかった。