「あんた浮かない顔してるねー」
翌日、朝早くからボートの貸し借りの手続きを手伝っていた矢先、母さんに小突かれた。
「おかげさまで」
「つれない息子だねー。やっぱり、あの生徒達が問題なの?恋愛絡みだったりする?」
無言でボートを洗う。
色々と巻き込まれて、様々な思いを生徒達にぶつけられてしまった故に、俺もうまく昇華できないのだ。
「あら……図星……」
「ちょっと、一人にしてくれないか?」
小うるさい母さんをよそに、ボートを乾かそうと浅瀬の砂浜の上。
木造建ての藁の家の壁に立てかけた。
この場所は、ボートを貸し借りするカウンターの役割をしている場所だ。
作業を終えると、ふと昨日零に殴られたことを思い出す。
ーー「多分、修先生に純奈が告白しなかったのは、修先生に迷惑をかけたくなかったからだと僕は思うよ」。
もしそれが本当だとしたら、俺は純奈の気持ちを知らないで責めたことになる。
だとしても……俺は向かってきて欲しかった……行動してくれないと、動いてくれないこともあるだろ?
自問自答の中、ふといつかの同僚は確か、こんな事を言ってた。


