足音が近づいてくる。
頼むから、帰ってくれ。
「許せなかったって意味、理解できる?」
「………さぁな……」
「教えてあげようか?」
試すような口調で、唆された。
仕方がない。
ため息をついた途端振り返る。
パシーンッ。
いきなり銃で撃たれたかのような、痛みが右頬に走る。
え………打たれた?
「君は、純奈の気持ちを踏みにじったからこそ許せないんだと思う。僕はね」
口から血をぬぐう。
「………踏みにじったってどうゆう事だ?」
俺は軽く、零を睨んだ。
「純奈は君のことを、大切に宝物を慈しむように楽しそうに話していたんだよ?それも、僕という恋人を差し置いて。その修先生の愛情にきずかないふりをして、僕は付き合ってた。命を捧げるつもりだったから。そんな様子にきずかない君が嫌いだった。嫉妬じゃない。愛する純奈が、修先生の無自覚な対応に傷ついていたのが耐えられなかったっ!!」


